室伏鴻ブラジル公演
Thank you, Ko Murobushi.
“Enthusiastic Dance on the Grave”
"quick silver + contortions"
昨年のウィーンに続き、今回はブラジルのダンサーと共にサンパウロにて『墓場で踊られる熱狂的なダンス』を踊ってきました。
1週間という短い期間でしたが、ブラジルダンサーの、空気を読み、親しみながら熱心に吸収する姿勢に助けられ刺激されながら、真摯な舞台が出来たように思います。お客さんも、まず目の前の出来事を受け止めてそれから反応するような、丁寧な見方をして下さいました。
今回のブラジルの舞台や今年2月のパリでのリハーサルを経て、室伏さんの振付・踊りは、”日本人だから似合う”踊りでも”国境をなくす”踊りでもなく、どんな土地で生まれ育ったかを含めた隠しようのないその人自身を曝け出させる踊りなんだと思いました。私自身、自分の作品を海外で上演するようになり、一層感じるようになりました。
リオデジャネイロでは室伏さん・岩渕さんと一緒に踊る、大変有り難い機会をいただきました。
室伏さんのソロの後に舞台に立つという挑戦。ブラジルで毎晩、夕食の席で交わされる室伏さんの言葉に打ちのめされましたが、そのとき感じる納得・疑問・悔しさ・イライラが舞台に上がるエネルギーになりました。私が室伏さんの踊りを踊る時に感じる”抵抗”は、室伏さんが舞台上で命がけでやっている”抵抗”には遠く及ばない。それでも今 私が見せることができる、室伏さんを唸らせる踊りはなんだろうと考えていました。答えはこれからもずっと探し続けると思いますが、今、できることは”切実”であることです。私は、室伏さんの作品を踊るとき、そこで感じる”抵抗”によってどんどんイノセントにされていく気がします。
ブラジル滞在最終日「また」と言って別れた室伏さんと、この世での「また」はありませんでした。まだあまり実感はありません。ですが、これからどんどん悔しくなって、恋しくなって、後悔すると思います。それがこれからの私のエネルギーになると思っています。
この2年間たくさんの世界と揺るぎない核心を見せてくださり感謝しております。今回最後に、一緒に過ごした濃厚なブラジルの日々を心にとどめて、これからも切実に踊ります。
ありがとうございます。